坂本観音霊場

 今日は曇天の京都東山です。さて、比叡山時報からもうひとつ興味深い記事を紹介します。「坂本観音霊場が再興される。三十八躯が半世紀振りに帰還」です。

 霊場の石仏は、第242世天台座主吉田源応猊下(1849~1927年)を慕う人たちが大正4(1915)年に奉納され、比叡山麓の日吉東照宮の南東一帯(観樹院付近)に安置されたものです。三十三所の観音像に加え、東大寺二月堂の十一面観音、平安時代に三十三所を復興したとされる花山法皇の像などとともに、各札所のご詠歌を刻んだ石碑も置かれ、「坂本西国三十三観音霊場」と称されました。

 しかし、昭和40年代後半、霊場を縦断する形で県道が建設されることになったため、石仏などはすべて、延暦寺と縁が深い京都市左京区にある赤山禅院へと移されました。

 その後、約3年前頃から、「霊場があったことが、このまま忘れ去られるのは惜しい」という声が地元のお年寄りや僧侶らから上がり、坂本自治連合会や延暦寺が協力して、元々あった場所に近い日吉東照宮南側の県道沿いの一角へ安置し直すことになりました。

 今年1月から石仏は整地された場所に順次移され、苔むしていた表面は全て磨かれて、各観音の御姿がくっきり見えるようになり、5月23日には開眼法要が執り行われたということです。折を見て、お参りに行ってみるとしますか。今日も楽しい一日を。