錫杖は、お釈迦さまの時代からあったそうで、毒蛇毒虫から身を守り、むやみに殺生することなく、追い払うために使われたものが始まりのようです。錫杖の持つ意味を調べてみますと、錫杖の先端に突き出ている部分は五輪で、法界塔婆を意味します。錫杖の円形の中央には三種の五輪があり、心・仏・衆生の三種の五輪を示し、これは、三心一体、己身の実相の宝塔です。また、円形の外側には半月状の形が左右に各二つありますが、これは東西南北の四州を表現し、左右に三つずつある六輪は菩薩の六波羅蜜の修行の相を示しています。柄の部分が六角になっているのは六道の境界を示すということです。
このように、錫杖は単に毒蛇毒虫除けの道具にとどまらず、錫杖を振ることによって、その音を聞いて六道輪廻の衆生が遍く救済されるということになったようです。
ちなみに、比叡山根本中堂には「錫杖守」なるお守りがあり、自動車のダッシュボードに立てることで、振動に合わせてシャンシャンと音がでます。つまり交通事故に遭わないようにする交通安全お守りです。利用したタクシーで見かけた時は、安心しましたよ。今日も楽しい一日を。