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不動明王像(雙林寺蔵) |
お不動さまの特徴は、九世紀末に天台宗の安然(あんねん)が「不動明王立印儀軌修行次第胎蔵行法(りゅういんぎきしゅぎょうしだいたいぞうぎょうほう)」によって著された「不動明王の十九観」に基づいています。お不動さまには十九の特徴があるのですよ。
その中から、特徴をいくつか挙げてみます。
- 額に波のような皺(しわ)がある
- 左眼は細めて斜めを見る、右眼は開く(天地をにらむところから天地眼という)
- 左側に弁髪を垂らす
- 右下の歯で右上の唇を噛み、右の牙を上に向けて出し、左の牙は下に向けて出す
- お身体は肥満した童子のようで、青黒い
- 右手に剣を持ち、左手に羂索を持つ
- 剣にはお不動さまの化身である倶利伽羅竜(くりからりゅう)が巻きつく(倶利伽羅剣という)
- 口は堅く閉じる
- 大盤石の上に安坐する
- 憤怒の相である
- 光背は火炎である(伽楼羅焔(かるらえん)という)
- 矜羯羅(こんがら)、制咤伽(せいたか)の二童子が給使している
などです。そして、これらには意味があるのです。
例えば、口を堅く閉じておられるのは、戯論(無駄な議論)を慎むためですし、額の皺は、つねに六道を輪廻する私たちのことをお考えになっていることを表わしています。剣をお持ちなのは、私たちの煩悩や穢れを断ち切るためですし、光背の火炎はそれらを焼き尽くすのです。
お不動さまのお姿は、両眼を見開き、牙をむき、少々怖いお顔ですが、すべては甘えん坊でわがままな私たちを剣や縄を使って脅してでも真理を気づかせて救ってやろうとされているのです。私たちは、それに少しでもこたえられるようにならないとだめですね。なま さまんだ ばさらなん せんだ まかろしゃな そわたや うんたらた かんまん 今日も楽しい一日を。