法観寺

八坂の塔
 曇り空の京都東山です。今朝は比較的気温が低く多少過ごしやすい日となっています。

 さて、「法観寺」をご存知でしょうか。恐らく、「五重の塔」とか「八坂の塔」といった方がわかりやすいのかもしれません。

 この塔は、高さ46mで、周囲の家並みも低く、前の坂の下から見上げると非常に目立つ存在で、京都でも有名な景観のひとつとなっていますね。この塔には、おもしろいエピソードがあります。

 天暦2(948)年、八坂の塔が北西に傾いてしまったそうです。その方角には御所があることから、宮中においてよくないことが起こるのではないかと大騒ぎになったのだそうです。そこで、天皇は、法力を持つことで知られる浄蔵(じょうぞう)に塔を元通りにするよう命じることにしました。さっそく浄蔵が塔に向かって祈祷すると、一晩で塔は真っ直ぐに元通りになったということです。

 浄蔵とは、浄蔵貴所(じょうぞうきしょ)とも呼ばれる天台宗のお坊さんで、学問や声明(しょうみょう=仏教音楽)、文学にも秀でたマルチな僧侶で、霊験無双の修験者でもありました。庚申で紹介しました金剛寺の開基でもあります。

 また、「祇園祭」の山のひとつ「山伏山」のご神体で、浄蔵が山伏姿で大峰入りするお姿となっています。来月の巡行で、拝ませていただくと、何かよいことが起こるかもしれませんね。今日も楽しい一日を。