宝物を出迎える人々

 

しょうぐうさん
 いいお天気の京都東山です。そろそろ梅雨入りと天気予報で言ってますが、どうなりますでしょうか。

 さて、今日はおもしろいお話を紹介します。

昔、ある村に貧しい男がいました。村人たちはみんなその男をきらい、男が訪ねて行っても門前払いで家の中へ入れることはしませんでした。男はこんな意地悪な人ばかりいる村から出ていくことを決心し、遠い国で商売を始めました。男は一所懸命働きましたから、大金持ちになりました。

ある日、男は村に帰ることにしましたが、大金持ちになったといううわさを聞いた村人たちは御気嫌をとろうとごちそうを作って男を出迎えに行くことにしました。貧しい時とは大違いの対応です。

男はそれを知るとわざと以前のように貧しい身なりに姿を変えて行列の先頭を歩きました。ですから、出迎えに行った者たちは男を見つけられません。そこで、「主人はどこにいるのか」と先頭の男に聞きますと、男はとぼけて「一番後ろにいますよ」と答えました。急いで一番後ろに行きましたが、そこにも主人らしき人はいません。再び「主人はどこですか」と聞き直しますと、「一番前のボロボロの服を着ている人ですよ」と教えられたので、村人はよくもだましたなと一番前の男に詰め寄ります。「せっかくみんなが出迎えにきているのになぜ隠れるのだ」すると男は「あなたがたはわたしを迎えにきたのではなく、宝物を出迎えに来たのでしょう。それなら一番後ろのラクダに積んでありますよ」と答えたそうです。

 ものにとらわれて他人を見るのは、今も昔も変わらないようです。このように、自分が与える時は少なく、もらうときは多く受け取ろうとする人と付き合ってはいけないということですね。今日も楽しい一日を。