ほどこす

しょうぐうさん
 曇り空の京都東山です。今日は法事で24人の方がお越しになります。雙林寺としては滅多にないことで、準備をしているところです。

 さて、今日からお彼岸が始まりました。お彼岸は、サンスクリット語の「パーラミター(波羅蜜多)」のことで「彼の岸へ渡ろう」という意味です。つまり、向こう岸の仏さまの世界に行こうということです。そのためには六波羅蜜(ろくはらみつ)のお修行に励まなくてはなりません。ちなみに、私たちの世界は「此岸(しがん)」です。

 六波羅蜜とは、布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧のことで、これらの実践によって、生きながらにして彼岸へ渡ることができるとされていますので、今日から簡単にですが、順に説明しようと思います。

 まずは「布施」についてです。「布施」といいますと、今ではお寺へ納めるお金のことのようになっていますが、もともとは、インドは暑くて、人々は布を身体に巻いて暮らしていましたので、その布を施すということからできた言葉です。つまり布施は、周りの人にプレゼントをしようというお修行になります。ただし、このプレゼントは物でなくてもよいことになっています。「雑宝蔵経(ぞうほうぞうきょう)」には「無財の七施」が説かれています。

  • 和顔悦色施(わげんえつじきせ)…にこやかな顔で人々に接すること
  • 眼施(げんせ)…やさしい眼差しで人々に接すること
  • 言辞施(ごんじせ)…やさしい言葉で人々に接すること
  • 身施(しんせ)…自分の身体でできることを奉仕すること
  • 心施(しんせ)…思いやりの心を持って人々に接すること
  • 床座施(しょうざせ)…座席や場所を他の人に譲ること
  • 房舎施(ぼうしゃせ)…自宅に人を迎えてもてなすこと

 このようにお金がなくても、物がなくてもこのようなプレゼントをすることは、周りの人たちに喜びを与えることができ、少しでも喜んでいただける方法です。難しく考えなくても、あいさつして笑顔で親切に接するということでいいように思いますけど、言葉でいうほどそう簡単にはできないですよね。なので、お修行なのですね。今日も楽しい一日を。