納めの甲子

大黒天像(雙林寺蔵)
 青空の京都東山です。今日は、「甲子(きのえね)」にて、大黒天さま今年最後のご縁日となります。特別参拝の折には、みなさま甲冑姿の大黒天像を熱心に拝んでおられました。

 大黒天さまは本名を摩訶迦羅(マハカラ)といい、悪魔を征伐する戦闘神でした。そのため、大黒天さまはドクロを首にかけ、すさまじい表情の神さまとして、古来インドで信仰されていました。三世最勝心明王経というお経では、一頭二臂(頭が一つ、手が二つ)、慧琳音義では一頭八臂、胎蔵界曼荼羅では、三面三目六臂(頭が三つ、目が三つ、手が六つ)という具合いにお姿を変えられます。

 ところが、日本に伝教大師さまがお伝えになってからは、さらに変身されます。大黒さまが剣を小槌に持ちかえて七福神の仲間になられたのは元禄11(1698年)年、摩訶阿頼摩という人が書いた「日本七福神伝」に、大黒さまのお名前が出てきます。いつの間にか戦闘神の武装が解除されて、おめでたい神さまとなられたのです。 

 また、大黒天に親しみを込めて「大黒さん」と言う以外に、住職の奥さんのことを「お大黒さん」と呼ぶことがあります。大黒天さまはお寺の台所に祀られているため、台所を切り盛りする奥さんに尊敬の意味を込めて呼ぶようになったのが始まりといわれています。おん まかきゃらや そわか 今日も楽しい一日を。