八朔

 毎日暑い京都東山です。今日の暦を見ると今宵は「満月」となっています。アメリカの先住民たちはチョウザメの豊漁を願って「スタージョンムーン」と呼んでいたそうですよ。

 ところで、きのう8月1日は「八朔」でした。八朔と聞くと、あの大きいミカンのような果物の日なのかと思いましたが、旧暦で8月1日のことでした。「八月の朔日(さくじつ)」と書いて、そのまま「はっさく」と呼ぶようです。朔日は、「ついたち」とも読んで、そういえば、神社の看板に「朔日参り(ついたちまいり)」と書かれていたりしました。農家では、この日を農休みにしたり、嫁が実家へ帰る日とされていたそうです。

 この八朔、新暦では8月下旬になりますから、稲作を行っている人たちにとっては、田んぼに稲穂が実り始めるころです。田んぼの実りを祈願するという意味を込めて、この日は「田の実の節句・頼みの節句」とも呼ばれているそうです。「田の実」が転じて「頼み」となって、農村ではよく頼みごとをするような親しい間柄の人たち、たとえば、家族や親戚、身近な知人・友人などに、稲穂をプレゼントする慣習も生まれたそうです。

 また、徳川家康が江戸城に入城した日が1590(天正18)年の8月1日で、八朔は幕府にとっても重要な日で、武士たちは総登城して、祝言をのべたり太刀を献上したりしたそうです。

 そして、ニュースにもなっていましたが、京都では舞妓さんや芸妓さんが、日頃お世話になっているお茶屋さんやお師匠さんのところに黒紋付の着物姿で挨拶まわりをされます。祇園における「八朔」のならわしですね。「これからもよろしゅうおたの申します~」な感じですかね。

 ちなみに、果物の八朔も調べてみました。1860年頃、広島県因島田熊町のお寺「恵日山浄土寺」の境内で発見された品種で、当時の住職であった小江恵徳が「八朔には食べられる」と言ったことから「八朔」と名付けられたのだそうです。しかし実際のところは、八朔の食べ頃は2月から3月頃で、この時期に食べるのはやめた方がいいようです。

 みなさまはどのような八朔をお過ごしだったでしょうか。今日も楽しい一日を。