半夏生

しょうぐうさん

 曇り空の京都東山です。さて、今日の暦には「半夏生(はんげしょうず)」とありました。暑さが増してきますから、夏が半分だけ生まれてくることかと思いましたが、「半夏」という植物が生え出す頃ということでした。カラスビシャクと言われる、生薬にもなる植物のことです。

 ややこしいことに、「半夏生」というその名もズバリの植物もあります。こちらは半夏生の頃に花が咲き、葉の表面だけが白くなります。したがって、この半夏生という名前は、半夏生の頃に花を咲かせるからだとも、葉の片側だけがおしろいを塗ったように白くなることから、「半化粧(はんげしょう)」と呼んだのだともいわれています。

 それから、この「半夏」は仏教とも関係がありました。この時期インドで行われる僧たちの修行「安居(あんご)」に由来しています。「雨安居(うあんご)」、「夏安居(げあんご)」ともいいます。この時期のインドは雨期なので、托鉢などには出かけず「安居」といって、屋内で学問中心の修行に励みました。心を安んじて居したわけです。

 このお修行、日本では天武12(683)年に始まり、一般寺院には中世の頃にひろまっていったようです。現在でも各宗派で安居が行われています。ちなみに、この安居の期間中に毎日お釈迦さまに供える花を「夏花(げばな)」といって、時の花や樒をお供えしたりします。

 それで、夏安居の修行は90日間です。始まりを「結夏(けつげ)」、終わりを「解夏(げげ)」といって、そしてその中ほどを「半夏(はんげ)」と呼んだことによるということです。

 調べてみますと、いろいろとわかってきて面白いですね。今日も楽しい一日を。