浴衣

 どんより曇が厚い京都東山です。さて、今夜は祇園祭宵々山ですね。夜は四条通りなどが歩行者になりますが、みなさまはお出かけになりますでしょうか。

 お祭りのときもそうですが、雙林寺界隈では、浴衣や着物姿の方が増えました。浴衣について調べてみますと、もともと入浴する際は「湯帷子(ゆかたびら)」と言う着物を着ていたそうで、江戸中期頃から裸で入浴するようになると、湯帷子が浴衣に変わって、入浴後の外出着となっていったそうです。現在では、家庭でくつろぐときや、旅館でお風呂上りに浴衣を着ますね。

 ただ、普段着慣れていないと、最初は帯の苦しさや歩きにくさを感じるかもしれませんが、帯の苦しさは背中が伸びることにつながりますし、浴衣が乱れないように歩こうとすると、どこか所作が上品に見えて、ゆったりとした時間を感じられるようになります。はじめはぎこちないかもしれませんが、ひとたび慣れれば気持ちも変わって、周りの景色も風情に満ちているように見えたり、風鈴の音色も、きっと楽しいものになりますよ。

 ところで、「まつり」という言葉は、神をさまを「祀る」ということです。夏には夏祭りを催し、夏の暑さのなか長い農作業による疲れを癒し、健康と秋の豊作を神さまに祈りました。また、疫病退散を祈願する「夏越の祓」や、お盆の行事として「魂祭(たままつり)」が開催され、祖先の霊を慰めました。令和の現代になっても、私たちが「無事で健康に生活できるようにと願う気持ちは変わりませんよね。

 お祭りへ出かけますと、露店にお囃子に、見聞きするものに興味をひかれがちですが、目に見えない大いなる神さまへの祈りも忘れずに行っていただきたいと思います。今宵は浴衣を着て、思い思いの「夏祭り」をお楽しみください。今日も楽しい一日を。