己巳の日

 

 本日いいお天気の京都東山です。今朝もウグイスがよく鳴いています。今日は、60日に1度巡ってくる「己巳の日」で弁財天さまのご縁日となります。縁日は、お願い事が届きやすいとか、御縁を結びやすい日といわれていますね。

 雙林寺では、「宇賀弁財天(うがべんざいてん)」の仏画を、お祀りしています。弁財天さまは、梵語で「サラスバティー」と申しまして、弁天、妙音天、大弁才天、弁財天などと訳されます。「七福神」の一員として琵琶を持って宝船にお乗りのお姿をよく見かけますが、雙林寺の弁財天さまは、8本の手に様々な武器をお持ちで、頭の上には「鳥居」と「宇賀神さま」をおのせになっておられます。

 寺伝によると南北両朝時代、新田義貞の軍兵が当寺に駐屯していたとき、足利尊氏軍の攻撃に遭い、全山樹木とも大伽藍は灰燼に帰してしまいます。その後、応仁の乱においても、再び雙林寺は焼失してしまうことになるのですが、この大楠樹だけは、その二度にもわたる大火災から不思議にも難を逃れたのです。そうして、その楠樹も、老齢になったため、枯れ死を助け風致を保存するために、昭和2年5月、信仰する有志が、周囲を石垣で囲み、御神木として、この弁財天を安置することにしました。歴史的な災禍を逃れた長寿幸福の樹齢は、私たちに健康と長寿を与えるとともに、弁財天の豊かなご利益を十方に施していただけることになりました。

 お参りの際には、弁財天さまからの恵みで多くの人々が豊かに暮らせますようにと、お祈りしていただけると幸いです。今日も楽しい一日を。