千手観音さま

 曇り空にて寒い京都東山です。今日は、1995年に淡路島北端を震源とする兵庫県南部地震が発生した日で、被災地では追悼行事が営まれているようです。そして、千手観音さまのご縁日となります。

 先日、三十三間堂での「楊枝のお加持」では、中央に安置される坐高3メートルの大きな千手観音さまと左右に500体ずつ、計1,000体の千手観音さまの御前でお勤めさせていただけたことは、たいへんありがたく身の引き締まる思いでした。

 ちなみに、この観音さまは、一体一体すべて違う表情をされていて、自分に似ているとか、会いたい人にそっくりのお像が必ず見つかるなどといわれていますが、実際に探すとなるととてもたいへんです。また、それぞれのお像には、お名前がついているのですよ。第一尊、尊宿尊、法眼尊…、、、

 千手観音さまは、手が千本、眼が千個あることから、千手千眼観自在菩薩とも千手千眼観世音菩薩、千臂千眼観世音菩薩とも呼ばれます。また、観音さまの中でも際立って功徳を頂戴できるとされていて、「蓮華王」と称することもあります。

 「千手千眼観世音菩薩広大円満無礙大悲心陀羅尼経」には、一切の衆生を救い、利益を与え安楽にするには普通の姿では効力がないため、千手千眼をもって、衆生を救済すると説かれています。決して、千本の手があるお化けではないのです。私たちは、何かをするとき道具を持ちますよね。たとえば、日曜大工なら、のこぎりに金づちとか、絵を描くなら、筆に絵具とか、お料理なら、フライパンに包丁でしょうか。それらを持った姿を写真にして、重ねて見ることができたら、自分には何本も手があるように見えますよね。このように、千手観音さまはこういうお力をお持ちなのですよ、ということがいっぺんにわかるように造られているのです。基本は中央で合掌されている二本の手です。「真手(しんしゅ)」といいます。この手で様々な道具をお使いになり、私たちをお救いくださっているわけです。

 子年生まれ守り本尊としてのほか、諸々の苦難除去、恋愛成就、息災延命、罪障消滅、除病、福徳授与などの功徳を頂戴できるとされています。 おん ばさらだるま きりく 今日も楽しい一日を。