己巳の日

楠木弁財天
 よく晴れています京都東山です。今日は鏡開きですね。本来は、刃物を使わずに木槌などで割るのが作法なのですが、いつまでたっても上手くいかないので、うちのお大黒さんは毎年包丁片手に「オリャー」と格闘されます。強く力をかけずに行う方法もあるようですが、体力が続く限りがんばるそうです。

 そして、「己巳の日(つちのとみのひ)」にて、弁財天さまのご縁日となります。弁財天さまは、梵語で「サラスバティー」と申しまして、弁天、妙音天、大弁才天、弁財天などと訳されます。「七福神」の一員として琵琶を持って宝船にお乗りのお姿をよく見かけますが、雙林寺の弁財天さまは、8本の手に様々な武器をお持ちで、頭の上には「鳥居」と「宇賀神さま」をおのせになっておられる「宇賀弁財天」のお姿をされています。もともとは、大黒天や毘沙門天と同じく、仏教を護るインドのヒンズー教の神さまでしたので、戦闘態勢をとっておられます。

 また、弁財天さまは、インドの五大河川を神格化したもので、一説にはサラスバティー川の神格化ともいわれています。川の流れは音楽に例えられ、そして、流暢で巧みな話術のことを、流れる水に例えられるところから、音楽や言葉の神さまとされ、さらに、解釈が広がって、芸事や学問の神さまとして信仰されています。他にも、水は豊作をもたらすことから、農業の神さまとしても崇められていて、豊作が富と結びついて、財運、財宝の神さまともなっています。

 雙林寺の弁財天さまは「楠弁財天」と申しまして、楠に宿っておられます。湖や川、池などの近くに祀られていることが多いのですが、水がない境内地に、何故、弁財天さまがおられるのかよくわかりませんけれども、宇賀神さまの関係から、もしかしたら、この地には白蛇がいたのかもしれませんね。 おん そらそばていえい そわか 今日も楽しい一日を。