終い不動

不動明王 雙林寺蔵
 毎日寒いよく晴れた京都東山です。今日は大安にて、今年最後の不動明王さまのご縁日となります。
 お不動さまは忿怒の相で厳かに盤石の上におられ、一切の人々を救い切るまではここを動かないという不動のお姿をされています。右手にお持ちの三鈷剣で、魔を退散させると同時に私たちの煩悩を断ち切って下さいます。そしてその剣には倶利迦羅龍が巻き付いています。左手には羂索という縄をお持ちで、悪を縛り上げ、また、煩悩から抜け出せない人々をひっぱり救い出してくださいます。御目は天地眼といって、右目は天を、左目は地をそれぞれ睨んでおられ、眼球の両側は忿怒による充血で、目頭と目尻を赤くされています。また、御口は右上唇を噛んで牙を上方に出し、左下唇からは牙を下方に向けて出しておられます。

 そのほかの特徴としては、九世紀末に天台宗の安然が著した「不動明王の十九観」に次のように書かれています。

  1. 此の尊は大日の化身なり。
  2. 明(真言)の中に阿(あ)、路(ろ)、喚(かん)、義(まん)の四字あり。
  3. 常に火生三昧に住す。
  4. 童子形を現じ、身、卑しくして肥満せり。
  5. 頂に七莎髻あり。
  6. 左に一弁髪を垂る。
  7. 額に皺文あり、形、水波のごとし。
  8. 左の一目を閉じ、右の一目を開く。
  9. 下歯、上の右唇を喫み、下の左唇、外へ翻出す。
  10. その口を緘閉す。(閉じる)
  11. 右手に剣を執る。
  12. 左手に索を持つ。
  13. 行人の残食を喫す。
  14. 大盤石に安坐す。
  15. 色醜くして異なり。
  16. 奮迅念怒す。
  17. 遍身に迦楼羅炎あり。
  18. 変じて倶力迦大龍と成り剣に纏わる。
  19. 変じて二童子と作り、給使す。

 このような怖いお姿で、悪魔を降伏させ、すべての障害を打ち砕き、素直に仏道に従わないものを導き救われます。日本では盛んに「お不動さん」として親しまれ信仰されていますね。今日も楽しい一日を。