鬼子母神

鬼子母神
 ところどころに晴れ間が見える雲のものの雲の多い京都東山です。今日は「大安」と一粒の種が万倍にも実るという「一粒万倍日」が重なるお日柄のよい日です。不動明王をお祀りされている寺院では、正五九まいりのご縁日にて多くの参拝者が来られていることと思います。

 そして、毎月8日のつく日は雙林寺ではおまつりしておりませんが、鬼子母神のご縁日でもあります。鬼子母神は、500人の子供を産み、子供たちを育てるための栄養として1000人の幼児を誘拐しては食べていたというとんでもなく恐ろしい外道の鬼女でした。人々からたいへん恐れられていましたので、お釈迦さまが戒めようとして、鬼子母神の一番末っ子のピンガラを隠されてしまいました。

 鬼子母神は、行方が分からなくなった子供をあちこちくまなく7日間捜したにもかかわらず発見できず、非常に嘆き悲しみます。そこでお釈迦さまのもとへ行き、子供が戻ることを願い求めることにしました。お釈迦さまは、「汝に食われた親の悲しみの胸中はどれほどか、わかるか」と諭されました。そして、三つの帰依と五つの戒律を護らせることにし、以後、死ぬまで人の子を取って食うことをしないようにと誓わせることで、ピンガラを返したということです。

 その後、鬼子母神は仏教に帰依し、誓願を立て、安産、幼児保護の神さまとなりました。子宝に恵まれるとか、病気快復のご利益があるとされています。また、ザクロをお持ちなので、お供えをしたりします。法華経には「十の羅刹女、鬼子母並に其の子及び眷属と倶に云々、法華経を読誦し受持せん者を擁護して其の衰患を除かんと欲す」と説かれています。

 それにしても、人食い鬼とは恐ろしい経歴をお持ちの方ですね。今日も楽しい一日を。