諭示

 雨上がりの京都東山です。昨夜からよく降りました。さて、先ほど「天台ジャーナル」が届きました。今号は「傳燈相承式特集号」となっており、大樹座主猊下が発せられた諭示が掲載されていましたので、ご紹介します。今日も楽しい一日を。

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 本日茲に比叡山延暦寺根本中堂薬師如来御宝前において、宗祖伝教大師をはじめ、満山三寶の御照覧をあおぎ、第二百五十八世天台座主傳燈相承の儀が古式に則り厳粛に執り行われ、座主相承譜に蹟を留めましたことは、洵に光栄なことと存じます。

 時あたかも宗祖伝教大師、祖師方のみ教えを内外に宣明した祖師先徳鑽仰大法会結願の佳辰に当たる時に法灯を継承いたしましたことは、その因縁の有り難きを謝し、改めて祖師のみ教えを深く心に刻み自らを戒めつつ、「我が志を述べよ」と遺された宗祖大師にお応えせねばならないと存じます。

 宗祖伝教大師は衆生救済を大誓願として、浄仏国土建設を念願され、比叡のみ山にこの法灯をともされ、宗団の礎とされました。

 現下の情勢を鑑みます時、地球温暖化や武力紛争に起因する人道問題など、誠に憂慮すべき事態となっております。

 我々はこの混迷する状況に傍観することなく、「忘己利他」「一隅を照らす」という宗祖伝教大師の高邁(こうまい)なるみ教えを昂揚し、慈悲に溢れた社会を目指さなければなりません。

 老衲及ばずといえども、仏天の冥助と歴世の余薫を仰ぎ、不惜身命、戒行精進し宗祖の御誓願実現に勤める所存であります。

 本宗僧侶並びに檀信徒の皆さまには、真俗力を合わせて、宗祖の遺訓を敷衍し、実践されることを切に望みます。

令和4年5月31日

第二百五十八世 天台座主 大僧正 大樹孝啓


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