ぼたもち?おはぎ?

 寒の戻りで少々寒い概ね晴れの京都東山です。さて、お彼岸になりますと「ぼたもちとおはぎの違い」についていつも書いていますが、実際のところ京都では区別されているのかどうかはよくわかりません。恐らく、現在では分けて呼ばれていることはないように思われます。

 まず、「ぼたもち」は春に「牡丹もち」と呼ばれていたもので、大きく丸く、こしあんで作られていました。一方のおはぎは、秋に食べられていた「お萩もち」と呼ばれていたもので、萩の花のように細長い俵型のような形で粒あんで作られていました。どちらも季節のお花の名前に由来していたのですね。秋に収穫したての小豆は皮が柔らかく、そのまま皮を潰して食べられるので、おはぎには粒あんが使われるのですが、春になると皮が固くなってしまうので、ぼたもちにはこしあんが使われたようです。

 そもそもお彼岸にぼたもちやおはぎを御供えしたり食べるようになったのは、なぜなのでしょうか。それは、古来から赤色には災難や邪気をはらう魔除けの力があると信じられていましたので、先祖の霊を慰めるために、お彼岸におはぎやぼたもちが捧げられてきたようです。また、農作業が始まる春の彼岸にぼたもちをお供えし、収穫の時期の秋の彼岸にはおはぎを作って、神さまに感謝していたそうです。

 諸説あるものの、寺では彼岸に限らず、小豆(あんこ)はお供物として欠かせないもののひとつです。ということで、今日の護摩では某和菓子店で販売されていましたぼたもちならぬ「おはぎ」をお供えすることにします。今日も楽しい一日を。