菊渓

キクタニギク
 今日は曇りの京都東山です。さて、写真は、もっときれいなときに撮っておけばよかった「キクタニギク」です。別名「アワコガネギク」といいます。もともと雙林寺南側を流れる川沿いに自生していた菊で、その川の名前を「菊渓川」といいます。しかしながら、京都府レッドデータブックには、絶滅危惧種とされ、菊渓川では絶滅したと記されました。キクタニは、菊渓、菊谷、菊澗とも書かれます。

 余談ですが、菊乃井無碍山房さんのところには、むかし「菊渓亭(きくけいてい)」という茶店があって、「円山茶団子」なる串刺しの団子が販売されていました。

 大谷祖廟さんの墓地を東へ通り抜け山道を進んで行きますと菊渓川が流れているのがわかります。川沿いに道があるのですが、誰も通らないので、雑草に覆われ樹木の枝に阻まれたりしたりしてと鬱蒼としています。そのまま道なりに進んでいくと上流になって、最後に水が湧き出ているところに到着します。恐らくこれが源流なのだと思われます。

 このように、東山の高台寺山と東大谷山との間の谷間を「菊渓」とよび、そこを菊渓川が流れています。都林泉名勝図会の雙林寺長喜庵のページには「菊渓」の文字があり、川からの引き込みだと思われますが、水が流れている様子が描かれています。江戸時代は、東山から長喜庵の南側を流れ、建仁寺を通り、鴨川に注いでいました。八坂神社南側の地域を下河原町と呼ぶのはその河原があった名残です。現在は、岡林院さんあたりから地下にもぐっているので、どこを流れているのかはわかりません。

 京都伝統文化の森推進協議会では、東山菊渓にキクタニギクを復活させようと、平成28年度からボランティアの方々と植栽活動が行われています。今日も楽しい一日を。

菊渓川の源流?

※長喜庵は、菊乃井無碍山房さんの東側にあった雙林寺塔頭のひとつで、東山を借景とした庭園があり、頼山陽、田能村竹田、蛎崎波響らなど全国の文人が訪れる文化サロン的な場所でした。