天台宗京都教区布教師会では、毎年7月頃に、法話集「法味(ほうみ)」を発行されています。京都教区の布教師の方々が執筆された法話を掲載した小冊子です。
京都教区内各寺院で無料配布されていますので、ぜひお求め頂き、生活の参考にしていただければ幸いです。
そこで、今日のお話は、以前私が寄稿したものです。
毎日のようにテレビ、ラジオ、新聞などには様々な犯罪が報道されています。また、犯罪にはならないものの、我々は少なからず、たくさんの人に迷惑をかけて暮らしています。
あの世には八大地獄があります。どんなところかといいますと…
- 等活(とうかつ)地獄…相手との殺し合いをし続けるところで、殺されても生き返り、いつまでも苦が繰り返されます。
- 黒縄(こくじょう)地獄…斧や、のこぎりでからだを升目通りに切り裂かれ、その苦がいつまでも繰り返されます。
- 衆合(しゅうごう)地獄…カミソリのような葉っぱでできた木があり、その木を登ったり降りたりし、体中血だらけになり、その苦がいつまでも繰り返されます。
- 叫喚(きょうかん)地獄…金ばさみで口をこじ開けられ、熱でドロドロに溶かした銅をいつまでも流し込まれます。
- 大叫喚(だいきょうかん)地獄…舌を鉄の釘で突き通されたり、鉄ばさみでいつまでも引き抜かれます。
- 焦熱(しょうねつ)地獄…火で熱した鉄の棒でたたかれ、口から肛門まで鉄串で突き通されたうえ、火であぶり焼かれ、火の海に何度も突き落とされます。
- 大焦熱(だいしょうねつ)地獄…火災、熱攻めにいつまでも合わされ続けます。
- 阿鼻(あび)地獄…もっとも恐ろしいところで、これら七つの地獄すべての千倍もの苦を絶え間なく与え続けられます。
とまぁ、書いていても身震いするような恐ろしいところです。
仏教の教えは明快で、良い事をしたら極楽へ行くことが出来、悪い事をしたら地獄行き。 現実に刑務所が存在するのですから、「あの世の刑務所」つまり「地獄」があっても不思議ではありません。
われわれは、人にひどいことをしたり、人を裏切ったり、周りに迷惑をかけたりすると、あの世で閻魔様の裁きを受けて、地獄という刑務所へ行くということを信じることで、善人になれることができるのではないでしょうか。
昔ながらの教育論ですが、今では子どもに恐怖心を与えて教化するのはいかがなものかと教育委員会に言われそうですが、「悪いことをすると刑務所行きだぞ」と語るのは、地獄の恐ろしさを語ること、つまり、嘘をつくと「針千本飲ますぞ」とか、「舌を抜かれるぞ」ということと同じで、社会の基本ルールを教える意味で有効な手段のひとつとして、世の中の凶悪犯罪も必ずや減るものと思うのです。
<参考>この原稿を書くにあたって、この絵本「・・地獄・・」を買ってイメージしました。
改めてよく見ると怖いです。