お不動さま

京は曇りにてお不動さまのご縁日です。

お不動さまのお姿はハッキリ言って怖いですよね。燃え盛る炎の前におられ、青黒いお肌に睨みつけるような鋭い眼、口元には牙が見えます。手にはロープと鋭い剣を持ち、我々が悪いことを仕出かすとすぐに縛り上げられそうです。しかし、このような怒りのお顔をされていても、それは親が子をしつけるときの心と同じで、我々がいつもおバカなことをするので、何としてでも道を外さずに怠けることなく修行に励めよと叱咤激励されているのです。つまりは、慈悲なのです。よくよく拝ませていただきますと、憎くて怒っておられるお顔ではないことがうかがえます。「もうえぇ加減、ちゃんとしろ」な感じです。

我々が比叡山でお修行させていただいてる時のご本尊はお不動さまで、体育館のような道場の正面中央におられ、見守ってくださっています。毎日2、3時間くらいの睡眠時間で眠たくて辛く逃げ出しそうな気持ちになりますが、そんなときはお不動さまのロープが今にも飛んできて引き戻され、剣を振るって「それでいいのか」と気合を入れられた気になり、おかげさまで遂業することができました。

優しそうな観音さまにお地蔵さま、病気にならないようにお薬師さまと、いろいろな仏さまとお付き合いしながら、今日も楽しい一日を。