雛人形

 曇り空の京都東山です。今年も、本堂に雛人形を設えました。お大黒の嫁入り道具のひとつですが、今では半世紀の歴史ある雛人形になりました。 

 ところで、雛人形には飾り方があるのですよね。どの段にどのお雛さまを置いて、順番はどうだとか。

 古来、日本のしきたりは上下関係を大切にしていて、左側が上席とされていました。したがって、雛人形も左側(向かって右側)に格の上の偉い人や年長の人を置いていました。

 ところが、明治時代になって欧米のマナーが日本へ入ってきて、大正天皇が皇后陛下の右にお立ちになって写真撮影をされたことにより、天皇陛下は皇后陛下の右側に立たれるようになりました。これにならって、東京を中心に雛人形も男雛を向かって左側に置くように変わりました。ただし、二段目より下はそのままになっています。しかし、京都では現在も昔ながらに向かって右側に男雛を置きます。どちらが正しいとかではなく、土地柄や習慣、やり方の違いですね。雛人形の持ち物にも違いがあるようです。

 この「左側の方が位が高い」という考え方は、左大臣と右大臣では、左大臣の方が格上になりますから、雛人形では白髪の年長者が左大臣となり、向かって右に置くことになります。

 壇の中ほどには、向かって左に橘、右に桜を置きます。これは、御所の紫宸殿の前庭に植えられている左近の桜と右近の橘のことで、左近・右近は左近衛府・右近衛府の略称です。左近は紫宸殿の東方(日が昇る方角)に、右近は西方に陣が置かれ、その陣頭のあたりにそれぞれが植えられていたので、この名称がついたのだそうです。もともとは桜ではなくて、794年の平安遷都のときに桓武天皇によって植えられた梅が、960年の内裏火災で焼失してしまい、再建の折、梅に代えて重明親王の家の桜が植えられたのだそうです。ちなみに、橘は平安遷都以前、そこに住んでいた橘大夫という人の家に生えていたものだそうです。

 どうぞご参拝の折、ご覧になってください。今日も楽しい一日を。