布施

しょうぐうさん
 昨日から雨が降り降ったりやんだりが続いています京都東山です。まだ降るかー、という感じです。今日は、一粒万倍日となります。何かを始めるのによい日ですが、今取り組んでいることを見直して万倍の成果につなげる日でもあります。万事うまくいくといいですね。

さて、お彼岸が始まりました。彼岸は、サンスクリット語の「パーラミター(波羅蜜多)」のことで「彼の岸へ渡ろう」という意味です。つまり、向こう岸の仏さまの世界に行こうということで、そのためには六波羅蜜(ろくはらみつ)のお修行に励まなくてはなりません。

 六波羅蜜とは、布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧のことで、これらの実践によって、生きながらにして彼岸へ渡ることができるとされています。ということで、今日から簡単にですが、順に説明しようと思います。

 まずは「布施」についてです。「布施」といいますと、今ではお寺へ納めるお金のことのようになっていますが、もともとは、インドは暑くて、人々は布を身体に巻いて暮らしていましたので、その布を施すということからできた言葉です。つまり布施は、周りの人にプレゼントをしようというお修行になります。ただし、このプレゼントは物でなくてもよいことになっています。「雑宝蔵経(ぞうほうぞうきょう)」には「無財の七施」が説かれています。

  • 和顔悦色施(わげんえつじきせ)…にこやかな顔で人々に接すること
  • 眼施(げんせ)…やさしい眼差しで人々に接すること
  • 言辞施(ごんじせ)…やさしい言葉で人々に接すること
  • 身施(しんせ)…自分の身体でできることを奉仕すること
  • 心施(しんせ)…思いやりの心を持って人々に接すること
  • 床座施(しょうざせ)…座席や場所を他の人に譲ること
  • 房舎施(ぼうしゃせ)…自宅に人を迎えてもてなすこと

 お金がなくても、物がなくてもこのような行いをプレゼントすることは、周りの人たちに喜びを与えることができますし、少しでも喜んでいただける方法です。難しく考えなくても、あいさつして笑顔で親切に接するということでいいように思いますけど、言葉でいうほどそう簡単にはできないのですよね。なのでお修行です。今日も楽しい一日を。