金木犀

 

 いいお天気の京都東山です。今日は28℃の最高気温となる見込みで、朝から市民しんぶんを配ってきましたが、少々汗ばむ感じでした。

 さて、キンモクセイの香りが漂うようになってきました。まだ花は咲いていないのですが、庫裡にいましてもぷーんと甘い香りが匂ってきます。樹皮が動物の犀(サイ)の皮膚に似ていることと、金色の花を咲かせることから名付けつけられたそうです。

 春のジンチョウゲ、初夏のクチナシとともに、キンモクセイの花も香りが強めなので、三大香木と呼ばれています。原産地の中国では遠くまで香りが届くことから、「千里香」とも呼ばれているそうです。昔はその強い香りで消臭効果を期待して、汲み取り式のトイレ近くに植えられることも多かったので、あまりよいイメージを持たない方もおられるようです。

 また、中国では木犀の別名を「銀桂」「丹桂」「金桂」などと「桂」と書くことから、キンモクセイを丹桂や桂花と呼び、香りを楽しむ「桂花茶」や「桂花陳酒」がつくられました。一般的な「桂花陳酒」は、白ワインにキンモクセイの花を3年間ほど漬けてできた混合酒のことです。あの楊貴妃も好んで飲んでいたと言われている秘酒で、とても華やかで甘い香りと風味とを楽しめるお酒ですよね。

 そして、金木犀の花ことばは、「謙虚」「陶酔」「真実の愛」「初恋」です。香りの強さに反して、花が小さく控えめなところから「謙虚」。また、甘い香りがするところから「陶酔」、どこまでも追いかけてくるような濃厚な香りが「真実の愛」「初恋」にも通ずると言われているようです。

 しかし、いくらよい香りだとしても、強すぎるとダメでふんわりほのかなくらいがちょうどよいように思います。強すぎて困る香りは「香害」なのかもしれません?今日も楽しい一日を。