布施(ほどこす)

 いいお天気の京都東山です。今日の最高気温は36℃となっていますから、お気を付けください。

 さて、お彼岸が始まりました。お彼岸でいわれるのが六波羅蜜の実践です。六波羅蜜とは、布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧のことで、これらの実践によって生きながらにして彼岸へ渡る、すなわち、お悟りを得ることができるとされています。

 ということで、今日は「布施」についてです。「布施」といいますと、今ではお寺へ納めるお金のことのようになっていますが、もともとは、字のとおり布を施すことです。インドは暑くて、人々は布を身体に巻いて暮らしていましたので、その布を施すということからできた言葉です。そこから、周りの人に贈り物、プレゼントをしようということになりました。ただし、このプレゼントは物でなくてもよいことになっています。「雑宝蔵経(ぞうほうぞうきょう)」というお経には「無財の七施」が説かれています。

  • 和顔悦色施(わげんえつじきせ)…にこやかな顔で人々に接すること
  • 眼施(げんせ)…やさしい眼差しで人々に接すること
  • 言辞施(ごんじせ)…やさしい言葉で人々に接すること
  • 身施(しんせ)…自分の身体でできることを奉仕すること
  • 心施(しんせ)…思いやりの心を持って人々に接すること
  • 床座施(しょうざせ)…座席や場所を他の人に譲ること
  • 房舎施(ぼうしゃせ)…自宅に人を迎えてもてなすこと

 お金がなくても、物がなくてもこのようなプレゼントをすることは、周りの人たちに少しでも喜んでいただける方法です。伝教大師さまは「悪事は己に向かえ、好事は他に与え、己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり」と仰せです。私たち一人ひとりのこのような行いが、周りの人たちの幸せになり、行うことで自分も幸せな気分になります。あんまり難しく考えなくても、笑顔であいさつして親切に接するということでいいように思います。今日も楽しい一日を。