伎芸天さま

 雲は多いものの概ね晴れ空の京都東山です。今日は新月となります。満月もしくは新月の日は、願い事が叶いやすいと経典に説かれています。そして、「歌舞伎の日」ですね。1607(慶長12)年のこの日、出雲の阿国が江戸城で徳川家康や諸大名の前で初めて歌舞伎踊りを披露した日ということです。出雲の阿国は、歌舞伎の祖とされていますね。四条通りと川端通の交差点東南角に、劇場「南座」がありますが、建物沿い西側に「阿国歌舞伎発祥地」の石碑、はす向かいの西北角には出雲の阿国像があります。

 先日、寺庭婦人会の研修で、南座に歌舞伎を鑑賞に行ったと、お大国が言うてました。「寺庭婦人(じていふじん)」とは、「家庭」という言葉に対する「寺庭」という言葉で、主にお寺に嫁いだ住職の妻のことです。私は歌舞伎を鑑賞したことはありませんが、折角南座も近いことですから、いつかは鑑賞してみたいところです。

 ところで、歌舞・音曲などの芸能の神さまに、伎芸天(ぎげいてん)さまがおられます。摩醯首羅王(まけいしゅらおう=大自在天)さまが天界で様々な伎楽(音楽劇)を披露される時に、頭の髪の中から、突如として現われた、容姿端麗で、芸事に優れている天女のことです。色白で、美しい天衣をお召しになっておられ、宝石などを連ねて編んだ瓔珞で身を飾り、左手は上に向けて天に捧げ、右手は下に向けて、裾をつまむお姿をされています。

 伎芸天さまの伎芸に関する才能は特別に優れていて、諸天の中でも誰一人として肩を並べる者がいないとされています。聖天さまのお姉さまとも妹さまともいわれていますよ。今日も楽しい一日を。