帽子 |
ちなみに法衣は専門の業者に洗濯を依頼します。ポリエステル製なら家庭の洗濯機でも洗えますが、キレイな折り目をつけてもらうためにも併せて依頼しています。とかく、法衣は折り畳み方があって、折り目が多くて丁寧に仕舞うのは一苦労なのですよね。中でも袴の紐を組むことが苦手な私です。
ところで、我々の冬装束のひとつに「帽子」があります。キャップやハットではなく、お坊さんが首に掛けているマフラーのような白い布のことです。これは、直接首に触れるものなので、そこそこ汚れるんですよ。
もともと、天台大師さまが大斎会の折、煬帝より敬老防寒のために煬帝の衣の片袖(縹色=明るい薄水色だったらしい)を自ら下賜されたという古事があり、伝教大師さまも桓武天皇より賜わったと伝えられています。何と、衣の袖だったのですね。しかもその場で、「寒かろう」などと仰って、むしり取って渡されたのでしょうか?
その故事から、現在では白羽二重を用いて、袖型に模して、二幅の重ねの環状に作られています。縹色ではなく白色となっています。また、4年に一度、延暦寺で執行される「法華大会広学竪義」を遂業しないと帽子の着用が許されないことになっています。最初の修行が終わったからと言って着けることができないものなのです。
ちなみに天台大師さま、伝教大師さまの御尊像を拝みますと、帽子を頭から被られていることがわかります。このように着用するものは探題帽と呼ばれるもので、帽子の約2倍の丈があります。これも、已講、探題という職位に着かないと頭から被ってはいけないことになっています。さらに、探題は耳を覆いますが、已講は耳を出すことになっており、着用方法にも違いがあります。
ということで、帽子の写真を撮ってみましたが、何かの洗濯物のようにしか見えないので、大正大学の法衣の記事を、ご参考になさってみてください。今日も楽しい一日を。
https://www.tais.ac.jp/faculty/department/buddhist_denominational_studies/blog/20130114/24354/