洒水器 |
さて今日は、六器、火舎香炉に続いて、「洒水器(しゃすいき)」の紹介です。洒水とは、香水を潅いで身心の穢れを除くことで、また道場や供具等も浄めることです。その香水を入れておく鋳銅製の容器のことを洒水器といいます。また塗香を入れておく、洒水器よりも少し小さい仏器を「塗香器」と呼びます。塗香は、体に塗るお香のことですが、実際に体に塗ることはなく、お作法をして身心を浄めます。洒水器と塗香器を一組にして二器と呼んだりします。
これらの器の形は六器とほぼ同じで、高台の上にお椀を乗せてあり、蓋が付いています。蓋には二段の盛り上がりがあって、宝珠形のつまみが付いています。お椀の外側に、三本または二本の帯が入れられてあるところが六器と違うところです。また、香水を潅ぐ杖を散杖といって、インドでは柳の木だったそうですが、梅の枝で作ります。口伝によって長さなどの寸法が決まっています。
その他にも、「門前瓶(もんぜんびょう)」というものもありまして、これは通常はあまり見かけませんが、法要のときに、道場や本堂出入口に置かれた瓢箪形の洒水器のことです。散杖が立ててあり、道場に入る際に身心を清浄にするお作法をするためのものです。さらに、その下には象の形をした象香が置かれて、お香が焚いてあり、そのお香の煙で心身を浄めるお作法もします。法要や修法を始める前に何度も心身を浄めて仏さまに拝謁するのですよ。今日も楽しい一日を。