施餓鬼壇の五色幡

 曇り空の京都東山です。さて、お盆に寺院では施餓鬼会が営まれることと思いますが、施餓鬼壇には「黄・緑・赤・白・紫」の五色幡が掲げられます。この五色幡は、餓鬼を救う如来を表します。 飢えや渇きに苦しむ餓鬼を招き、 安らかにするために壇上に掲げます。同時に方位も表します。

 南 寶勝如来   餓鬼たちのむさぼりの心を捨てさせ穏やかにします。仏の不思議な力によって、一切の煩悩と苦しみを消し去り、福と智慧が得られます。

 東 妙色身如来   餓鬼たちのみにくい姿を美しくします。仏の妙なる力によって、煩悩にまみれた姿で苦しむ者を円満でふくよかな姿に戻します。

 西 甘露王如来  餓鬼たちに甘露のような仏の教えを注ぎます。仏の慈悲の心によって、潤いのある甘露のような教えを注ぎ、真の安らぎを与えます。

中央 廣博身如来 餓鬼たちの口と喉を広げ、食べ物を食べられるようにします。傷つき満たされない心のため何も食べられず、教えを受けられなかった餓鬼たちを智慧という食物で満たします。

 北 離怖畏如来  餓鬼たちの恐怖心を全て取り除き餓鬼道から離れさせます。妄念が生みだす恐怖心のために凍りついた心を融かし、やすらぎを与えます。

【天台宗「お施餓鬼のしおり」より】

 今日は精霊棚を設え、迎え火を焚いてご先祖さまをお迎えされる家も多いと思います。日々漫然と過ごしがちな私たちですが、先人たちが守ってきたお盆をはじめ様々な年中行事を毎日の生活に取り入れていただきたいと思います。今日も楽しい一日を。