潅仏会

 快晴の京都東山です。さて、今日はお薬師さまのご縁日にて、お釈迦さまのお誕生日ですね。

 お釈迦さまの教えのなかに「すべての者は暴力におびえ、すべての者は死をおそれる。己が身をひきくらべて、殺してはならぬ、殺さしめてはならぬ」というお言葉があります。他人を殺してはいけないのはもちろんのことですが、人が殺そうとすることも止めなくてはならないと教えられています。お釈迦さまは、どこまでも暴力は使ってはいけないとされたのです。

 「己が身にひきくらべて」というのは、殺される側に立ってみなさいということです。誰かに殺されることは、恐怖や苦しみの極みだと思います。そのことを、自分の恐怖や苦しみとして理解しなければならないと説かれます。これは、慈悲の心のことです。つまり、相手の苦しみや悲しみが自分のことのようにひしひしとわかるということです。

 国家や集団が始める戦争は、必ず何らかの「正義」を掲げて正当化しますが、そこには暴力を受ける側の思いがありません。今もなお戦争が続き、多くの生命が失われています。一日も早く争いがなくなり、世界が平和でありますようお祈り申し上げます。今日も楽しい一日を。