断ち物について

 今日は聖天さまのご縁日ですね。神棚のおそうじ、お花にお供え物、勤行も普段よりも丁重に行いたいものです。お寺へお参りに行くのもよいと思いますし、普段の信仰を反省したり、信仰心を表す日です。

 さて、今日は月初めなので、気分一新好きなお酒を断って聖天さまにお願いをしようなどと思われる方もおられるかもしれません。お酒に限らず、煙草やギャンブル、その他自分の好物を断って苦行で誓うと、何か特別な功徳、ご利益を頂けるんじゃないかとお考えなのかもしれません。

 聖天さまは何も酒を飲むな、煙草を吸うななどとは申されておられませんし、酒を止めたからといって、特別な御利益を授けるとも御約束はされておられません。聖天さまからしますと、心から私たちのことを思い、苦しみを減らして幸福を与えてやろうといつも考えていらっしゃいます。なのに、自分を苦しめている姿を聖天さまに見せるということは、聖天さまの胸の内はいかばかりなものでしょうか。聖天さまはきっと、そんなことよりも他にしてもらいたい修行があるのだよと私たちを諭されることでしょう。断ち物をすることはあくまでも身を慎しむ一つの修行で、信仰を深めてより真剣なものに育てる為に行うものですから、決して御利益の代償と考えるべきではないのです。

 大体、好物は体に悪影響を与えることが多く、場合によっては周りの人たちにも迷惑をかけることにもなります。それが、聖天さまと約束をすることで、不思議にも止められたりします。その結果、健康になり、周りの人たちにも迷惑をかけることなく信用も回復します。もちろん、家庭が円満になるのはいうまでもありません。

 断ち物よりも、聖天さまがお喜びになることを日頃から行うことです。それは、いつも自分の行いを反省し、他人のことに気を配り、自分を高めようと努力することです。シンプルですが奥が深く、言うのは簡単ですが、実際に行動するとなると非常に難しい。このことは「七佛通戒偈」に説かれているところです。

 聖天さまの願いは私たちが悟りを開き、ほんとうの幸せを手に入れることです。今日も楽しい一日を。