今は昔、天竺（インド）で、うさぎ、キツネ、サルが一緒に暮らしていました。３匹は菩薩の修行を毎日続け、敬い合っていました。
そんな３匹の様子を見ていた帝釈天さまがその行いに感心し、本当に仏の心を持っているのか試そうと考えます。帝釈天さまは、老人に変身して３匹のもとを訪ね、「貧しく身寄りもない年老いた私を養ってもらえないか」といいます。３匹はその申し出を快く受け入れ、老人のために食べ物を探しに行きます。
サルは木の実や果物を、キツネは魚を施すことが出来ました。ところが、うさぎは老人が食べるものを見つけることができませんでした。そんなある日、「食事を探してくるので火をおこして待っていてほしい」といいました。早速、サルとキツネが火をおこしますと、うさぎは自分自身を老人に食べてもらおうと火の中へ飛び込み、死んでしまいました。
すると老人は帝釈天の姿に戻り、うさぎのこの慈悲深い行動をすべての生き物に見せるため、その姿を月の中に映すことにしたとのことです。
「己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり」という伝教大師さまのお言葉が身にしみます。今日も楽しい一日を。
