聖天縁日

 曇り空の京都東山です。今日は一粒万倍日です。何かを始めるによい開運日と言われていますが、取り組み方を見直して万倍の成果にしようとする日でもあります。よい仕事の成果がでますように。

 さて、聖天さまのご縁日です。朝から信者さんがご参拝に来られています。参拝されるときは身も心も清浄であることはもちろんのことですが、御幕などに描かれた大根と巾着袋の御紋を見て、これは聖天さまからのお説法だと受け止めるようにしましょう。

 巾着袋は、もともと砂金を入れておく袋で、財宝やお金を入れていました。つまり、この袋の中には、私達が願い求める財産、健康、立身出世、夫婦和合などすべての福徳が納められているのです。「願に応じて之を施さん」との御本誓から、「私たちにこの袋の中の福を与えてやるぞ」との御心が表されています。

 また大根は、滋養に富み、毒を消す作用があることから、心の悩みや苦しみ、不安などという心の毒や、貪瞋痴という信仰の邪魔をする心の毒を消し去り、安らかな心の落ち着きを与えて下さる事を表しています。このように、巾着には物質的、世間的な御利益が与えられるということ、大根には内面的な心の安心が与えられるという意味が込められているのです。

 そして、お参りできた時は、自分一人の力でお寺に来たんだと思わないことです。あらゆる条件が整って叶ったことですから、協力してくださった方に感謝しなければならないのです。このことに気づくことは聖天さまも喜ばれることにちがいありませんし、正しい信仰の道をすすんでいけることになるのだと思います。

 また、ご利益欲しさに数多く参拝される方をまれにお見掛けしますが、回数ではなくて、聖天さまの御利益や御加護は、身の回りや暮らしの中でお示しになるのですから、自分の仕事や役割などをしっかりと果たすことが必要です。聖天さまからのお助けは誰にも分け隔てなく与えられていますから、それに気付く感性とでもいいましょうか、そういうことを高めることも大切だと思いますよ。今日も楽しい一日を。