有無同然

しょうぐうさん
 いいお天気の京都東山です。今日は、有無(ありなし)の日だそうです。第62代村上天皇の967(康保4)年の忌日で、村上天皇が、急な事件のときのみ政治を行い、それ以外は、政治を行わなかったことにちなんで制定されたとのことですが、誰が制定したのかは、分からないそうです。ちょっと変わった内容の記念日ですね。

 ところで、仏教では、「有無同然(うむどうぜん)」という言葉があります。あってもなくても同じということです。

 例えば、我々は良い暮らしをしようと毎日働いています。美味しいものをたくさん食べて、きれいな服を着て、快適な家に住もうとがんばっています。自分の気持ちを楽しくしてくれるモノなどは次々に手に入れていきます。なぜなら、そこには幸せがあると思っているからなのですよね。

 しかし、お釈迦さまは国の王子さまとして、それらがすべてが備わっているところにお生まれになりました。人もモノもお金も不自由なくあったわけです。にもかかわらず、全然幸せだと感じておられませんでした。そして本当の幸せを探そうとお城を出られて、それらを捨ててしまわれたのです。そうして、修行されて、悟りをひらかれ、そういう物質的なものがなくても、身分がなくても本当の幸せになれる方法をみつけられたのです。

 私たちには、にわかにわかりにくいことですけれども、毎日のモヤモヤ感を解決する方法や幸せは、お金やモノなどの「有無」とは別のところにありそうです。今日も楽しい一日を。