施餓鬼会

 曇の多い京都東山です。さて、お盆の時期となりましたが、寺院では、「施餓鬼会(せがきえ)」が営まれます。

 【施餓鬼会とは、餓鬼に施す法会のことで布施行の実践の一つです。一杯の器の水と飲食(おんじき)を陀羅尼の力や諸仏の慈悲心により飢餓に苦しんでいる餓鬼たちに与え、その善行功徳によって三界萬霊・過去精霊すべての成仏を願う法会です。

 施餓鬼の「餓鬼」とは、常に喉が渇き飢えに苦しむ存在です。僧は食事をいただく時、餓鬼のために七粒のご飯を取り置きます。これを生飯(さば)といい、「汝等、鬼神衆よ。我れ今、汝に施す。七粒を十方に遍くして一切の鬼神に供えんことを」と祈りを込めて、施しています。

 また「餓鬼」とは、自分自身の心のあらわれの一つでもあり、むさぼりの心に捉われがちな私たちの心の象徴です。これらに対して「施餓鬼」という布施行を行い慈悲を施すのです。布施とは、むさぼる心をなくすことにその根本があります。

 つまり「施餓鬼会」とは、檀信徒のみなさまが、施主となって、布施行を行い、塔婆を建立し法要を執り行います。その功徳を廻らして、ご先祖さまへと施すのです。

 仏教では、苦しんでいるものに慈悲の手を差し伸べることの大切さを説きます。 施餓鬼会は、自分たちとは直接関係がないように見える、未だ成仏していない餓鬼や無縁の諸霊を供養することを通し、菩薩の実践行である布施行を行う良い機会なのです。(天台宗『お施餓鬼のしおり』リーフレットより転載)】

 このようにお盆は、ご先祖さまへのおもてなしだけではなく、他を思いやる「慈悲の心」を養う期間でもあります。お盆を迎えるにあたり、あの世全体を想像しながら、日々の暮らしを見直したいですね。今日も楽しい一日を。