聖天さまご縁日

 晴れ空の京都東山です。寺院によって多少違いますが、雙林寺では、毎月1日と16日を聖天さまのご縁日としています。

 よく世間では聖天さまは恐い神さまだとか、子孫の七代までの福を一代にとるなどと色々に言いふらされていますが、何の根拠もない迷信的な伝説ですので、少しも気にされなくてもよろしいです。

 聖天さまが恐い神さまと言われるのは、他の仏さまより明確にご利益を私たちに与えてくださり、善人に向かわせようとされる方法をされますので、つまり簡単に言いますと、ご褒美をいただいたにもかかわらず、分けたり感謝せずに独り占めしてしまい、叱られるということなのです。叱り方が、非常に厳しい(ことが起こる)ので、怖い神さまと仰る方が現れたのだろうと思います。

 よく考えてみますと、その時は心がねじ曲がった悪い状態であったり、思いあがっていたりしている状態の時なので、聖天さまがご威力をもってその心をくじいて仏法に従わせようとされているのです。われわれのおバカちゃんぶりはそれほどの威力がないとそう簡単に矯正できません。聖天さまは言わば、慈愛の心で子ども叱る親父です。そこで自分のおバカぶりに気づいて、言い訳したり自分を正当化せずに素直に謝り猛省して今後に活かせればいいことなのです。

 また、七代の福をとるとかというのは、聖天さまの霊験あらたかなたとえです。聖天さまを信仰した親が大成功したからといって、その子、孫と次々と不運、貧乏になるわけがありません。もしもそうなら、それは親が築いた財産に群がって聖天さまのことを忘れ、働くこともせず、使い果たしてしまった結果なのです。

 聖天さまはこのようにアメとムチで仏さまの世界に導いてくださる身近で信頼のおける神さまです。そもそも信仰は自分の人格を高めるためにするものですので、倦まず弛まず信じ続けることです。 おんきりぎゃうんそわか 今日も楽しい一日を。